福井しあわせ元気国体、式典音楽隊取材の第2弾。
見出しは、誇張ではありません。いや~、まさに「壮絶」そのものでした。
去る8月25・26日(土・日)の両日、当サイトで先日、紹介済みの総勢約400名の音楽隊の合同練習が再び行われました。実はこの音楽隊、国体開会式、同・閉会式、福井しあわせ元気大会(障スポ)開会式、同・閉会式の、4つもの式典音楽を一手に担います。4つの式典、全ての通しリハを、この2日間の午前と午後に分けて行う、という、超ハードスケジュール。つまり、丸2日間、終日、屋根のない屋外に出っぱなし、ってこと。時季的に盛夏のピークは過ぎたはずなのに、会場の福井市はよりによって2日間連続で最高気温が35℃を超える猛暑日。普通なら屋外での活動は自粛される条件ですが、これだけの巨大イベント。後に紹介しますが、非常に多くの関係者が都合のすり合わせをした上での日程。大災害でも起こらない限り、そう簡単に延期する訳にいかないのです。先週、肌が痛いとぼやいていた記者、まだまだ甘かった。
かわいい後輩達が気になって、懲りずに現地に赴きました。前回の日焼けを教訓に、ゴルファーとかが使う大きな日傘を持参しましたが、風が強くて使えなかった、という「落ち」付きで。
25日朝、福井運動公園のバス用駐車場。関係者の数が察せられるでしょう。
朝から場所を割り振って、様々な団体がパート練習をしています。陸上競技場のフィールドを目いっぱい使う、広いフォーメーション。音楽隊とはまた別の、体力的な苦労があるでしょう。
暑さに加え、この日は台風の影響がまだ残り、風も非常に強く苦労していました。
開会式リハ直前。イベントの規模の大きさを物語る1枚です。
厳しい練習の甲斐あって、凛々しささえ感じさせるきれいな行進。
こちらは後の退場時ですが、足並みまでぴったり揃っているのが静止画像からでもわかります。
既にマス・メディアに出ている「炬火台」。オリンピアで太陽から採火した訳ではないので、聖火とは呼ばないそうです。
記者は未確認なので違っていたらゴメンナサイ。ぱっと見、若狭三方縄文博物館などの縄文土器のイメージでしょうか?あの辺りは水月湖年縞でも有名になりましたしね。
ところで、これ、世界初なんだそうです。
http://www.iwatani.co.jp/img/jpn/pdf/newsrelease/1311/180709_news_jp1.pdf
化学をとっている生徒さんはわかるはず(武高の化学の先生の気持ちを代弁)ですが、水素は、液化するのがすごく難しい(というより、たいへん)な物質。
液体状態では液体窒素を上まわる(下まわる、と言うべきか?)極低温のため、気化ユニットへの導入パイプには霜が付きます。
炎に色を付けるためのユニットは、Web上に出さないで、とのこと。
ガス圧や、炎に色を付ける成分の配合を、炬火台直下の制御盤でコントロールします。
何せ初めてなため、リハーサルの間、何人ものエンジニアの方がずっと付きっきりでした。
さて本題の合唱団。午前中から日よけ対策を重ね頑張ります。何せ、この日の朝の福井市の最低気温が28.8℃。後で気象庁のデータを確認したところ、この写真を撮った時点で33℃。この後、最高気温は35.7℃に達することに。
なけなしの朗報は、マイクが写っていますね。これで拾った音を自分たちにモニターすることで、前回の「音の遅れ」の問題が少し解消されました。
救護室。ガラス張りで、離脱してもリハーサルで何をやったかわかるよう配慮されています。さすがに写真には撮りませんでしたが、この日、後に、ここが満員になることになります。
そんなことを書くと、大会本部にクレームが行きそうなので誤解のないよう断っておきますが、大会本部は、熱中症の予防に万全を期していました。リハーサルの最中であっても、飲水・一人抜け出しての休憩は自由。各所に細かく監視員を配置し、熱中症の予兆が少しでもあれば、すぐに駆け寄ります。
救護室が満員になったのは、念には念を入れた結果とご理解下さい。あれだけの猛暑の中、あれほどの人数が関わって、一人も救急車を呼ぶ事態にならなかったのですから。
救護されたのは、小さなお子さんが多かったです。体が小さい分、絶対的な水分保持量が少ないという生理学的な理由もあるでしょうが、記者が見ているに、真面目で純粋な子どもは、最初から全力でとばし続けるからという気がしました。一方、ご高齢の方は、ちょっと休んで具合がよくなると、周囲からの「今日は無理せずこれでやめておきましょう。」との制止を振り切り、「いや、もう大丈夫!戻るんだ。」とおっしゃる方が多い。「世代の特徴」の縮図がここにあるような気がしました。
競技場には当然、ある程度の電源はありますが、多量の音響装置等の駆動には足りないのでしょう。競技場周辺には何台も、強力そうな自家発電車が。
式典途中には、様々な役回りの人達が次から次へと入場してきます。まだ本番前ですから、鮮明な画像の公開は自粛します。
これだけは断言しちゃっても許されるでしょう。式典は、大迫力です!この写真だけでも、ちょっとだけ垣間見えるでしょ。
国体開会式のリハ終了。お昼ごはんへ。急きょ、全員に支給。
実は今回、合同合唱団を代表して練習の段取り等のマネージメントを担当する大瀬氏、我が武高合唱部OB、記者もよ~く知る先輩なのです。だもんで、気軽に後輩としてこき使われる武高「みんなのお弁当運び隊」。
お弁当タイムは、団欒とともに、冷房の下、酷暑で消耗した体力の回復を図る貴重な時間に。食後はもう、この期におよんで老若男女は関係なく、皆、人目もはばからずUVカットクリームを顔・全身に塗りたくります。もはや、命を守るため、のレベル。
午後、吹奏楽隊は本番のユニフォームを着用。空気が引き締まります。これも鮮明な画像は自粛。
午後の部開始。日差しの強烈さを感じて頂けるでしょうか?
さて、この日、合同練習が終了し、この酷暑との格闘の後というのに、なんと合唱部員たちは、学校に戻り、日が暮れるまで学校祭の練習・準備をしたのでした。
合唱部室には、冷房がありません(泣)。
そして翌日。
朝は、式典に出る様々な団体の方が、それぞれの送迎バス乗り場に集合します。写真は、26日朝の福井駅東口。朝7時半ごろというのに、既に30℃に迫る気温。少ない陰に退避。
搬入の規模も、ハンパじゃありません。
2日目午前中のリハ開始。やはり強烈な日差しの中、気力を振り絞ります。
熱中症対策。少しでも空いた時間ができれば、すぐに降段して日陰での休憩が指示されます。
この給水所の風景だけで、状況を察していただけるでしょう。
陽が高くなると、少しの日陰が貴重。
集う武高勢。休憩は、練習では離れている仲間が再会する時でもあります。
休憩中に世代間交流。これも合同合唱団の魅力。
2日目昼食。「今日は羽水が行こう!」と、皆、身体がしんどい中、率先して運んでもらったお弁当。羽水さん、ありがとう!!
昼食中、競技場から何百メートルも離れた控室に大音量が飛び込んできました。身体を休めなければならない合唱団はそのままに、記者だけグラウンドに駆け付けました。さっき搬入した太鼓の部隊です。
驚きました。横に数十メートルの隊列。音楽隊と同様、伝わる音の遅れのため、合わせるのが難しいはずです。音楽隊が使っているマイクを介したモニターは使用していません。
写真には写っていませんが、正面に「地打ち」と呼ばれる、テンポの調整役が1人だけいて、その人のバチの動きが指揮者の役割を果たします。結構、小さい子どもさんまで混ざっているのに、ものの見事に合っているのが、この写真から分かります。いや~、驚きました。
これも写真の画質をわざと落としてあります。本番にご期待!
音楽隊の休憩の一方で、裏方さんは黙々と働きます。これもどこかの学生さんの奉仕。どの行程でも、器材の量がハンパじゃない。
こんなに過酷な日程の中でも、昼食後のわずかな時間を利用して、合唱パートだけの自主練。団員の自発的な意志のもとで行っているんですヨ。
長かった2日間も、ようやく最後の通しリハ。あれっ?吹奏楽隊がいない!
実は、本番、色々なことがあり得ます。大雨で、式典会場が屋内とか。で、小雨で、「楽器はNGだけど、合唱団は歌える。」というケースもあり得ます。その場合、吹奏楽は既に録音したCD(つまり、カラオケ)で。そうなった場合の歌とCDの音量のバランスとり。また、マイクで拾った音を肉声に混ぜた時、遠くの客席で聴いて、マイク経由の音と生の声が到達する時間差が問題とならないか?等、音声さんサイドでいくつものチェックポイントがあるため、合唱団のみが参加しているのです。人が見ていないところで、どんな場合にも周到を期す準備、恐れ入ります。
武高合唱部の皆さん、そして苦労を共に分かち合った音楽隊の全ての皆さん、本当に暑い2日間、お疲れ様でした。高校生という、青春真っ只中の貴重な時間、野球で甲子園を目指す子、音楽でコンクール入賞を目指す子、夏休み中に学業の成績の盛り返しを狙う子・・・、それぞれの「熱い夏」があります。皆さんは、大きな犠牲をはらって、この巨大イベントに挑んでいると言えるかも知れません。しかし、そのうちにきっとわかります。皆さんのこの夏は、人生、後に、きっと「熱い」ものとなります。式典に感動が生まれた時、選手の頑張りを生んだ時、他都道府県の方から感謝された時、あの式典を、間違いなく柱の一本となって支えたのは、多くの人に知られぬまま、あの辛く厳しい練習を耐え抜いた、私達に他ならないんだという、誇りによって。
残念ながら記者は、開会式本番には入場できませんが、君達は、きっと輝くと、そして、大合唱を初めて生で聴く誰もを感動させると、信じています。頑張って下さい。
最後に、長い本稿をお読みいただいた方に、この取材に行かなければ撮り得なかったスペシャルショットを2枚。
群がる本物のマスコミの方をかき分けながら撮ったので、アングルが悪いのは御容赦を。
来年度、「いきいき茨城ゆめ国体」のマスコット「いばラッキー」。閉会式では、これと「はぴりゅう」を両県の間で交換します。
合唱部顧問 宇野T
広報部記者 様、密着取材、どうもありがとうございました。
合唱部をこんなにも熱く、愛情いっぱいにとり上げて下さいまして、顧問として心より感謝申し上げます。
当初、生徒引率のつもりで参加した国体練習でしたが、大人の合唱団に欠員が出たとかで気づけば、自分も合唱団の一員に。過酷な状況下での練習に正直、くじけそうになることも・・・。でも、そんなとき、私の元気の源になっているのは、何と言っても生徒たちの頑張る姿です。
生徒たちは、学校祭だ、課外だ、テストだとさまざまなハードルを乗り越えながら、この一大イベントに関わってくれています。忙しい武高生ゆえのジレンマ、当人だけでなく、保護者の皆様にもご心配をおかけしていることと思います。日頃の温かいサポート、どうもありがとうございます。
私自身も共に活動してみて感じることは、やはり、これだけの国家プロジェクト、相当感動しそう・・・ということ。大人の合唱団の大半が、高校時代(~青年時代)に国体を経験された世代の方々で、当時も合唱隊として歌ったというご経験をお持ちの方もいらっしゃいます。きっと、今の高校生達にとっても一生忘れられない想い出になることでしょう。
当日、さわやかな秋晴れの空の下、高らかに歌声を響かせられますように・・・。
PTA広報部長
後日談。
皆様、既にご存知の通り、「当日」は、冷たい、冷たい、土砂降りでした。そんな中、皆が一丸となって雨にも負けず高らかに響かせた歌声は、確かに、誰もの耳に、そして「心」に、届きました。
しょうしょうと、一刻たりとも降りやまぬ雨の中、ノースリーブの衣装で踊られる方などもいらっしゃいました。大会本部からはもちろん、合羽の使用の申し出があったものの、ほとんどの演技者は、自ら、本来の衣装のままでの演技を望んで選んだと聞き及んでおります。
はるばる来て下さった方々に、持てる力の全てを出し尽くして、今、見せ得る最高の演奏・演技を披露したい!そんな福井魂が、期せずして5000人余の参加者の間で波打った、素晴らしい開会式でした。
どうか、一生の思い出になさって下さい。